テーブル仕上げ中。
2009年 04月 17日
マエストロが以前から準備していたテーブルを来週からはじまる展示会に合わせて仕上げています。
今回はマエストロの好みであまり白いメープルの木の部分の色を濃くしたくないとのことでgommalacca biancaをベースにして仕上げています。
通常のLucidatura(フレンチポリッシング)では普通のgommalacca(シェラック)を使用するのですがそうすると独特の黄色みのある仕上りになります。
それに比べてgommalacca biancaは塗っても仕上りの木の色があまり変わらず乾燥も早い。塗っていてちょっとべたっとした感触があり匂いもウレタン系の匂いがしていました。多分gommalaccaとウレタンの混合なのだと思います。
さてかなり分かりづらいので簡単にLucidaturaに使う道具をご紹介。
まずは主役のgommalacca(ゴンマラッカ)
日本だとセラック?シェラック?と呼ばれるもので虫の分泌液から取れる樹脂でそれをアルコールで溶かして塗っていきます。
アルコールの色でピンクがかって見えますがgommalacca自体は黄色系のものです。
本などを見ると溶かす濃度がでているのですがマエストロいわく「Sentirlo!!(feeling)」だそうです。濃さも2種類準備して使い分けています。
一番右の黄色い液体が今回使ったgommalacca biancaです。
次はgommalaccaを薄く伸ばして塗っていくためのtanpone(タンポーネ)
lino(リネン)の生地の中にlana(ウール素材)をいれてlanaだけにgommalaccaを染み込ませて下の写真のように丸めて少しずつ少しずつ伸ばしていきます。
染み込ませる量が重要で多すぎるとうまく伸ばすことが出来ずなかなか光ってきません。この微妙な分量も「Sentirlo!!(feeling)」です。
このtanponeもlinoの目の細かさで何種類かを使い分けます。
またアルコールが飛んでしまうとすぐに生地が硬くなってしまうので瓶の中に入れて保存します。
最後はpomici(ポミチ)
辞書で調べると軽石という意味なのですが日本でいう木目の目地を埋める砥の粉でgommalaccaの表面を硬くし細かい隙間や傷、木目の目地などを埋めて平滑にする効果があります。
しばらくgommalaccaだけで磨いてベースを作ってそれからこれをほんの少しポンポンとたたくようにして粉を出しさらに磨きます。
そうすると手の感触も変わってきて目地が埋まっていくのが少しずつ分かってきます。
これも多すぎるとベースのgommalaccaがひび割れを起こしてしまったり細かい傷が出来たりしてしまいます。
すっかり長くなってしまいましたがこのlucidatura(フレンチポリッシング)は上記の道具を使って何十回、何百回と磨き続けてはじめてきれいな仕上りにすることが出来ます。なので日本の一般的な家具でこの仕上げが使われることはありません。
しかしこの何とも言えない柔らかな輝きと触感は一般的なウレタンやラッカー仕上げとは全く違うのでもし機会があればぜひ見てみて下さい。
ヨーロッパに残るすばらしい技術です。
by lunapienabytaka
| 2009-04-17 09:47
| 修復